循環器診療に漢方の優しさを
新神戸きたむら内科 循環器・漢方クリニックを開院するにあたり、『循環器診療に漢方の優しさを』というキャッチフレーズを掲げました。
『循環器診療に漢方の優しさを』
一見するとどういう意味なのかわかりにくいかもしれませんが…
私が循環器内科医として30年、漢方専門医として15年診療を行ってきた中で感じたことを短い言葉でメッセージにしようとすると、この言葉になるのです。
循環器疾患の治療は、目覚ましい発展を遂げています。
心臓を養う血管(冠状動脈)が細くなって血液の流れが悪くなったり、血栓で詰まってしまったりする病気を虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞が含まれます)と言いますが、細くなった冠状動脈を拡げるカテーテル治療一つをとっても、この30年で大きく進歩しました。私が医者になったばかりの頃は、細くなった血管を風船で内側から拡げるだけでしたが、ステントと呼ばれる金属製のチューブを挿入して血管を内側から支える治療や、狭窄部分をドリルで削る治療(ロータブレーター)が行われるようになり、再狭窄(治療した血管がまた細くなること)も格段に少なくなっています。
また、心不全治療も『強心剤で心臓にムチを打つ』時代から『β遮断薬によって心臓を休める』時代に大きく転換し、標準治療として処方する心不全治療薬も様変わりしました。心臓リハビリテーションの発展によって、『心不全だから安静にする』から『心不全だから体を動かす』ことが当たり前となり、私が医者になってからの30年で循環器診療は様変わりしたと言っても過言ではありません。
最先端、最良の医療を提供することは我々医師の使命として当然必要なのですが、ガイドラインに沿ったいわゆる標準治療がすべての患者さんにとって100点満点の結果をもたらすとは限りません。
心不全治療薬の副作用によって腎臓の機能が低下したり、体が冷えるようになった…
入院治療中に筋力が低下し、歩けなくなってしまった…
高額な心不全治療薬を飲んでいるため老健に入所できない…
さらには
狭心症治療薬を何種類も飲んでいるが狭心症の発作が度々起こる…
検査で異常は見つからなかったが、胸の痛みや動悸で辛い…
ということが実際にあるのです。
そんなとき、漢方薬が役に立ちます。漢方は、その広い懐で様々な困った状況を好転させてくれるのです。正しい薬を選べば、副作用の心配もほとんどなく、患者さんを優しく良い方向へ導きます。
医者になって30年。元々はカテーテルを握って不整脈の治療を行う循環器内科医でしたが、ここ15年は漢方もわかる循環器内科医として診療にあたっています。
『循環器診療に漢方の優しさを』取り入れることで、高齢の方にも体に優しい治療が提供できます。
循環器疾患(心臓病)、生活習慣病を治療中の方で、『どうも体調が良くない』、『治療薬の副作用で困っている』と感じておられる方は一度ご相談下さい。
新神戸きたむら内科 循環器・漢方クリニック 院長 北村 順