第74回日本東洋医学会学術総会に参加しました

新神戸きたむら内科 循環器・漢方クリニック院長の北村順です。

2024年5月31日~6月2日に大阪国際会議場で行われた第74回日本東洋医学会学術総会に参加してきました。

金曜~土曜は診察があるため6月2日のみの参加でしたが、3つの役割を頂き、大変充実した一日となりました。

【役割その①:ミニシンポジウム10 循環器疾患で使う漢方薬】

まず、9:00~10:10に行われたミニシンポジウムのトップバッターとして「冠攣縮性狭心症の漢方治療」という話をしました。与えられた時間が短いシンポジウムだったため、話したいことのほんの一部しかお話しできませんでしたが、おそらく雰囲気は伝わったのではないかと思います。

冠攣縮性狭心症のガイドラインに「漢方薬の使用を考慮してよい」と記載されたこと、具体的な処方としては「桂枝茯苓丸+四逆散」をベースとして、木防已湯や柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯/柴朴湯などを組み合わせることなどをお話ししました。

【役割その②:一般演題[呼吸器/循環器]】

続いて13:40~14:20に行われた一般演題では、札幌南一条病院の眞木先生とともに座長を担当しました。

座長というのは司会者のようなもので、演者と聴講者の議論を取り仕切る仕事をします。会場の皆さんが議論を盛り上げて下さったので、非常にスムーズな進行となりました。

【役割その③:シンポジウム8 慢性腎臓病に対する漢方治療アップデート】

最後の役割はシンポジウムの演者です。慢性腎臓病がテーマでしたが、心腎相関ということで講演の機会を頂きました。他のシンポジストの先生方の講演内容からするとやや場違いな感じがあったような気もしますが、循環器領域の漢方治療に関するトピックスの紹介を含め、30分弱壇上でお話をさせて頂きました。

循環器疾患と親和性の高い漢方薬は、利水剤(五苓散、牛車腎気丸など)です。心不全の標準治療薬(西洋薬)に利水剤を併用することによって、利尿薬を減量することができれば、腎臓への負担を軽減できる…という話をしました。また、牛車腎気丸はフレイル・サルコペニアに対する効果も期待できるので、高齢の方の心不全には牛車腎気丸が良い…ということもお伝えしました。

一番大きな会場ですので、マイクを通して話す声も大きく響きます。話していて気持ち良いナー…と感じるシンポジウムでした。

さいごにオマケ。

学会会場には図書販売のコーナーがありますが、私の本を平積みしてもらっていたので密かに嬉しく思いました。真ん中やや左にある、上がベージュ、下が緑の【好評書】とシールが貼られた本です。ご褒美をもらったような気分になりました。感謝。