心不全

心不全は、『なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸 困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群』と定義されています(*)。もう少しわかりやすく言うと、『心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気』となります。原因によっては突然発症し、生命に関わることもあります。慢性期の症状には、疲れやすい、だるい、動悸などがあり、心臓の機能低下によって肺にうっ血が生じると、息切れ、息苦しさ、むくみなどの症状も強まります。こうした症状の出方は、心不全の重症度によって異なります。下記のような症状がみられるときは、お早めに当院をご受診ください。
(*2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療より)

心不全の主な症状

  • 疲れやすい
  • 身体がだるい
  • 動悸がする
  • 息苦しい
  • 食欲低下
  • 脚がむくむ
  • 横になると息苦しい
  • 前かがみになると苦しい など

不整脈

不整脈

心臓は1日に約10万回も拍動しています。心臓が不規則な動きをした結果、脈が乱れることを不整脈といいますが、多くの場合はあまり心配のいらないものです。しかし、不整脈の中には、命に関わるものも含まれており、より詳細な診断と適切な治療が必要となるケースもあります。当院院長は日本循環器学会が認定する循環器専門医ですが、元々不整脈のカテーテル治療(カテーテルアブレーション)を専門としております。
不整脈が発生する原因としては、冠動脈疾患、心臓弁膜症、心不全などがありますが、甲状腺異常や肺に病気がある人も、不整脈になりやすい傾向があります。こうした病気も、早めに治療を開始することが大切となります。

動悸、息切れ、脈が飛ぶ、気が遠くなる などの症状を感じた場合は早めにご相談下さい。

虚血性心疾患 (狭心症、心筋梗塞)

心臓の表面には、心筋に酸素を供給している冠動脈が走っています。動脈硬化などによって冠動脈の血流が十分でなくなると、心臓が酸素不足となり、胸の痛み、圧迫感、絞扼感などの症状が現れます。これを狭心症といいます。心臓がたくさんの酸素を必要とする運動時だけに症状が出るタイプ(労作性狭心症)と、主に安静時に症状が現れるタイプ(安静時狭心症、冠攣縮性狭心症)があります。胸部症状を自覚するときには、早めに検査を受けることが大切です。
冠攣縮性狭心症の難治例では、漢方薬による治療が有用な場合がありますので、お困りの方は当院にご相談下さい。
心筋梗塞は、冠動脈が閉塞することにより心臓の筋肉(心筋)の壊死が生じる病気です。壊死を起こした心筋は再生しませんので、一度心筋梗塞を起こすと心臓のポンプ機能が障害されてしまいます。一刻も早い再灌流療法(閉塞した冠動脈の血流を再開させる治療:ステント留置など)が必要ですので、冷汗を伴う胸痛、胸部圧迫感、心窩部痛(胃の症状と間違われる場合があります)を自覚する場合は、ためらうことなく救急車を呼びましょう。

虚血性心疾患の予防について

狭心症や心筋梗塞のリスクを減らすには、下記にお示ししたように、日頃から生活習慣を見直すことが大切です。

  • 禁煙する
  • 塩分や糖分、脂質を摂り過ぎない
  • バランスの良い食事を心がける
  • 適度な運動をする
  • ストレスにうまく対処する
  • 規則正しい生活をおくる

※強い胸痛を感じたときは、速やかに医療機関を受診してください。

弁膜症

心臓の大動脈弁や僧帽弁などに障害が起き、本来の役割を果たせなくなった病気を「弁膜症」と呼びます。弁の開きが悪くなって血液の流れが妨げられる狭窄症と、弁の閉じ方が不完全なために血液が逆流してしまう閉鎖不全があります。主な原因としては、先天性疾患、動脈硬化、虚血性心疾患、リウマチ熱などがありますが、原因を特定できないケースも少なくありません。弁膜症は自然に治ることはないので、心筋の障害が進行する前に治療することが大切です。
弁膜症によって心不全を来すようになると、動いたときの息切れや、むくみが出現します。
弁膜症は心エコー検査(心臓超音波検査)によって、体への負担なく評価できます。

心筋症

心筋症

心臓の筋肉そのものの障害により、心臓の機能が次第に落ちてくる疾患です。心筋症は大きく二つに分けられ、心臓弁膜症や高血圧症などの特定の病気によって発症するものを「二次性心筋症」、原因がはっきりしないものを「特発性心筋症」と呼びます。このうち特発性心筋症には、心室の壁が分厚くなって内部が狭くなる「肥大型」、心室が拡大して心室の壁が薄くなる「拡張型」、心室の壁は硬くなるものの、必ずしも厚くはならない「拘束型」があります。これら三つのタイプは、それぞれに症状や経過が違い、治療法も異なっています。