睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる病気です。肥満や喉・あごの骨格的な形状などが関与して、喉の空気の通り道が塞がることが主な原因です。これに伴い、高血圧、糖尿病、不整脈などの心疾患、脳卒中を招く確率が大幅に上昇します。日中にもかかわらず車を運転しているときに強い眠気が襲ってきて、交通事故を引き起こす原因となることもあります。職業や家事などの私生活にも何かと悪影響が出がちですので、何も手を打たずにおくことは禁物です。大きないびきなどをご家族に指摘されたときは、軽視せず、早めに受診するようにしてください。
睡眠時無呼吸症候群を診断するための検査として睡眠時ポリソムノグラフィー検査があります。睡眠中の脳波、血液中の酸素の量、気管内の空気の流れ、胸部や腹部の動きなどを観察する検査ですが、一泊の検査入院となります(夜入院~翌朝退院)。その場合は神戸海星病院をご紹介します。
入院での精査前に簡易ポリソムノグラフィー検査も行なえます。簡易検査機器がご自宅に届き、自分で装着する検査です。重症の睡眠時無呼吸症候群であれば、簡易検査でも治療適応と判断される場合がありますので、とても有用です。
睡眠時無呼吸症候群の治療にあたっては、まず生活習慣を見直すことが大切です。肥満の方は、減量のために食事を腹八分目に抑え、適度な運動も心がけます。お酒の飲み過ぎも、気道の閉塞を悪化させる可能性があるので、ほどほどにしましょう。
さらに、患者様個々の状態に応じて、CPAP療法やマウスピース療法、外科手術などが行われます。このうちCPAP療法では、鼻に装着したマスクから圧力を加えた空気を送り込むことによって、ある一定の圧力を気道にかけられる装置を使用します。これによって、気道の閉塞を取り除いて無呼吸を防ぐ治療法です。中等症から重症の患者様にとても効果的で、ほとんどの患者様で、この治療を行ったその日からいびきをかかなくなります。朝もすっきりと目覚め、昼間の眠気も軽くなります。睡眠時無呼吸症候群の最も重要な治療法として広く普及しています。
マウスピースは、就寝中の顎の位置を少し変えるだけで改善が見込めるような軽症レベルの患者様が適応になります。気道を広く確保するために、下顎を上顎よりも前に出るように固定します。マウスピース自体は歯科医院で製作しますが、その後の治療は当院で対応いたします。
またアデノイドや扁桃肥大など、気道の塞がってしまう病気がある場合は、外科手術が必要になることもあります。この場合は、手術を行える病院をご紹介いたします。