第27回日本心不全学会学術集会に参加しました
新神戸きたむら内科 循環器・漢方クリニック院長の北村です。
2023年10月6日~8日に横浜で行われた第27回日本心不全学会学術集会に参加しましたのでご報告します。
今回の会場パシフィコ横浜は、横浜のウォーターフロント地区「みなとみらい」にあります。JR桜木町駅から会場までは徒歩12分の距離がありますが、途中にロープウェー、観覧車、帆船日本丸…などちょっとワクワクする景色が続きます。いつも学会参加で訪れるため、みなとみらい観光はしたことがないのですが、とてもおしゃれなエリアです。
さて、本題である日本心不全学会学術集会。3日間にわたって心不全に関する様々な研究発表や講演、シンポジウム、市民公開講座などが行われたわけですが、私は今回「教育講演1:心不全の漢方治療」を担当させて頂きました。
日本心不全学会で漢方薬の話をさせてもらえる…というのは、実は凄いことです。一冊目の著書「循環器医が知っておくべき漢方薬」を上梓した2013年には全く考えられなかったことです。しかも、教育講演として取り上げて頂いたのですから、循環器領域の漢方治療という未開の分野に取り組んできた私には最高のご褒美でした。
これもひとえに今回の機会を下さった大会長・吉村道博先生(東京慈恵会医科大学循環器内科主任教授)のおかげです。当日は大会長としてお忙しい中、私の講演を会場で聴講下さいました。終了後には、過分なお褒めの言葉を頂き、感謝感激でありました。吉村先生ありがとうございました。
講演時間は30分という短い時間でした。
短い時間の中ではありましたが、私が10年以上取り組んできたこと、心不全に対する漢方治療の考え方などをギュッとまとめてお話ししました。
つかみとして冒頭に取り上げたのはQUEST trial。今年8月にアムステルダムで行われたESC congress 2023のホットラインセッションで発表された、中医薬(中国で用いられる漢方薬)による研究です。左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)症例に対する中医薬 qiliqiangxinの効果を調査した研究ですが、標準治療への追加投与によって心不全増悪による再入院、心血管死に対する抑制効果が示されました(…いま循環器領域の漢方治療が熱い!)。
実は…日本でも心不全症例に対する五苓散追加投与の効果を検証する大規模臨床研究(GOREISAN HF研究)が進行中です。私も研究世話人として研究に関わらせて頂いていますが、qiliqiangxinよりもシンプルな構成で生薬数の少ない五苓散の効果が示されることに期待しています。
それにしても…日本心不全学会は盛り上がっています!心不全療養指導士制度が始まり、薬剤師さん、看護師さんたちが心不全診療に積極的に参加・活動されているのを感じます。私もさらに勉強させて頂きたいと思います。