漢方ってスゴい!~よだれに効く漢方薬

新神戸きたむら内科 循環器・漢方クリニック院長の北村順です。

今日は『漢方ってスゴい』という話をします。

とにかく、漢方ってスゴいんですよ。

何がスゴいかというと…西洋薬・西洋医学ではどう対応すれば良いかわからないような症状も何とか対応できてしまう!

もちろん、何にでも効くとは言いません。漢方薬で癌を治す…などと言ってしまうのはもってのほかですが、たしかにビックリするような効果が出ることがあるのは事実です。

例えば…認知症のある御高齢の方でヨダレが出て困る…という場合。

ヨダレが出なくなる薬なんてあると思いますか? 浅学ゆえに私が知らないだけかもしれませんが、西洋薬でヨダレを止める薬はないと思います。

ところが、漢方薬なら解決できる場合があります。

漢方の古典『傷寒論』に「大病いえて後、喜唾、久しく了々たらざる者は、胃上寒あり、当に丸薬を以って温むべし、理中丸に宜し。」と記載されています。喜唾とは、たびたび唾を吐くこと。口の中に唾液が溜まってたびたび唾を吐く状況を表しています。そのような状況が長く続いてスッキリしない人は胃が冷えているので、理中丸のような丸薬で胃を温めるのがよい…ということです。

口の中に唾液がたまるからヨダレが出るわけですから、ヨダレが出て困る人には理中丸が効くかも!と考えても良いですよね。

さて、その理中丸(りちゅうがん)ですが、医療用エキス製剤の人参湯(にんじんとう)を丸薬にしたもの…と考えるとよい薬ですので、人参湯で代用できます。

実際にヨダレが出て困っているという患者さんに処方したことがあるのですが、本当にヨダレがピタッと止まりました。

診察の際にはご家族が一緒に来られていましたが、『よだれかけがいつも唾液でぐっしょり濡れていたのに、付けなくても良くなりました』…と大変喜ばれました。

やっぱり漢方ってスゴいんです。